都市農業と税務~生産緑地法の一部改正について~

農業

1.生産緑地制度の概要

生産緑地制度は、宅地化を計画的に進めるべき市街化区域内で、良好な生活環境の確保に相当の効用がある農地を生産緑地地区として都市計画に定め、都市における農地の保全を図っています。

生産緑地に指定された市街化区域内農地は、「原則30年間の農地等の管理義務」と「建築物の新築等の行為制限」が義務付けられますが、税務上の優遇措置「固定資産税の農地評価及び農地課税」と「農地等の相続税の納税猶予制度」を受けることができます。

2.改正の背景

生産緑地制度は、当時地価が高騰する中、市街化区域(すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域)にある農地の本来持つ機能に着目し、保全すべき農地を都市計画上明確にして、法律上宅地転用を制限することになりました。

生産緑地法(新法)成立から30年を経過する2022年以後は市町村宛に農地の買取りの申出が可能となります。この買取りの申出期限が迫る中、都市農地がもつ優れた多面的機能〈景観創出機能・交流創出機能・食育、教育機能・地産地消機能・環境保全機能・防災機能〉が注目されはじめ、都市農地のあり方が、当初の「都市農地は宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」へと大きく政策転換されることになりました。このことを踏まえ、生産緑地法の一部改正が行われました。(2018年4月施行)

3.生産緑地法の一部改正

都市農地の計画的な保全を図ることを目的として下記のとおり制度が変更・創設されました。

・指定面積の引き下げ

生産緑地の指定が受けられる面積は、従来一律500㎡以上とされていましたが、市町村の条例により300㎡以上に引き下げが可能となりました。

・建設行為制限の緩和

生産緑地の指定を受けた農地に建設できる施設は、農業生産に必要な施設に限られていましたが、農産物直売所や農家レストラン等の設置も可能となりました。

・特定生産緑地の創設

生産緑地の指定から30年が経過する農地について、その農地の保全を確実に行うことが良好な都市環境の形成を図るうえで特に有効であると認められるものを市町村が「特定生産緑地」として指定し、買取りの申出期限を10年間先送りにするという制度が創設されました。

 

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